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  • 文学部 日本語学科
  • いとうせいこう先生
  • 2017-09-26

日本語ラップのパイオニア・いとうせいこうがかせきさいだぁだけに打ち明けた「芸事の極意」を公開

かせきさいだぁの転機にいとうせいこうあり。POMERANIANS≡~THE DUB FLOWERへの参加も、『ミスターシティポップ』の舞台裏も、『建設的』30周年祝賀会も、たっぷり蔵出しします。

取材・文・撮影/勝又啓太(Sketches of Designkasekicider.com 管理人)

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「せいこうさんが僕の道しるべになっている」

かせきさいだぁ

「恋かな?!」っていうくらい、最近せいこうさんに会いたくて(笑)。前ほどちょこちょこ会えなくなっちゃったじゃないですか。

いとうせいこう

そういえば、かせき謹製焼きそば(富士宮やきそば)、最近食べてないなあ。

かせきさいだぁ

実はですね、改めて振り返ってみると、せいこうさんが僕の道しるべになっていることに気付いたんです。で、ここ数年間の集大成『ONIGIRI UNIVERSITY』をリリースした今、この先何やったらいいかわからないので、そろそろ次の指針をいただきたくて(笑)。

いとうせいこう

道しるべって言うけれど、その張本人の俺は、覚えてないんだけどね(笑)。ぜんぶ忘れちゃうから。

――それでは二人の馴れ初めをはじめ、エピソードをなぞりながら、せいこうさんの道しるべぶりを紹介していただきましょう。

かせきさいだぁ

2008年頃、いとうせいこう&POMERANIANS≡に呼ばれて。CDに2曲ほど参加したんですね。その後の代官山のユニットでの初ライヴでは、ゲストとしてアンコールから出演したんです。そこで、いつも通りむちゃくちゃやって、個人的には「盛り上がって良かったな」なんて思っていたら、せいこうさんに「俺が一時間かけて作ったものをめちゃくちゃにしやがって」って言われたんですよ。

いとうせいこう

俺、そんなこと言った?(笑)でも、たぶん、怒ったわけじゃないよ。きっと、冗談だよ!

かせきさいだぁ

それまで僕は、ライヴっていうのは「盛り上げればいい」と思っていたので、「場をふまえて盛り上げる」なんて考えまで至っていなかったんですよ。これからはそれを意識しようと思った出来事だったんですね。

一方で、後日、ライヴがいくつか控えている中で、せいこうさんは「これからはかせきを頭から出して欲しい」って言い出したんです。曲もないのに!「みんなで考えて出番を作って欲しい」って。

いとうせいこう

かせきがいると、ステージングが楽だからやりやすいとでも思ったんだろうね。

かせきさいだぁ

さすがに一曲目からではなく三、四曲目あたりからの出演でしたが、実際に出させてもらったわけで、「ああ、あの時は本当に怒って言ったわけじゃなく、一緒にやっていこう」ってことだったんだなって。

いとうせいこう

そうだよ!俺は怒んないよ。

「『お祭り男』の称号をお前に譲ろう」

かせきさいだぁ

それで毎週のようにリハするようになったんですけど、楽器隊のみんなが練習していて、ふたりでだらだらしているとき、急に「『お祭り男』の称号をお前に譲ろうと思う」って!

聞けば、その「お祭り男」の称号って、林家三平師匠のトリビュートイベントで、奥さんの海老名香葉子さんから「うちの三平を思い出すわ、あなた『お祭り男』ね」って言われてもらった由緒ある称号らしいんですよ。それをこんなに気軽に(笑)。

いとうせいこう

そうそう。まだ世間にヒップホップが認知されていない時代に、泰葉のイベントに出て、「Say Ho!」とか言って、めちゃくちゃやっていたからね。まさにアンコールに出てきてかっさらっちゃう、さっきのかせきと流れは同じだったのよ。

かせきさいだぁ

実は、譲ってくれたのはその称号だけじゃなかったんですけどね(笑)。

いとうせいこう&POMERANIANS≡が THE DUB FLOWER となって、その新体制でしばらくライヴやっていたんですが、それが終わったところで、僕は「ミニアルバムでも作るのかな」って予想していたんです。そしたら、またまたせいこうさんが急に「かせきがこのバンドの長(おさ)だから」と言い出したんです!「えっ、せいこうさんのバンドでしょ?!」と、ほんと寝耳に水でした。

いとうせいこう

さっきから、だいたい俺は急になんだよね(笑)。普通に考えたら、無責任だよね。

かせきさいだぁ

□□□」をやり出したからか、実際、来なくなったんですけど(笑)。

いとうせいこう

興味が移っちゃったんだろうね(笑)。

かせきさいだぁ

当のバンドメンバーたちも、改めて「かせきさんのバックバンドやらせてください」って頼んできて、こうなると後にはひけませんから、かせきさいだぁ&ハグトーンズとして再始動することになったんです。

思えば当時、まだ僕、活動休止していたんですよ。せいこうさんとのバンドは、バイト気分での参加って感じで始まって、そこからせいこうさんが少しずつ「かせき、がっちりやっていこうぜ」って引っ張り出してくれたんだと思います。

いとうせいこう

いろいろあって活動休止しているのはなんとなく察しつつ、それは音楽界の損失だから、このままじゃダメでしょうっていうのがあったんだろうな。背中を押す意味で言ったんだと思うよ(笑)!

俺さ、一緒にステージをともにすれば、相手の可能性をいろいろ思いついちゃうんだよね。かせきが中心になってこのバンド率いると、良いバンドになるんだろうなって予感もあったわけ。

かせきさいだぁ

そう、こんな風にせいこうさんが示した流れに乗っていくと、本当にうまくいくんですよね。道しるべになっているでしょう?!

言い換えれば、せいこうさんは編集者的なんですね。せいこうさん自身もいろいろやっていますが、誰かを立てるために何かをやっているというか。SUBLIMINAL CALM だったら、藤原ヒロシさんを立てるとか。THE DUB FLOWER でダブさん(DUB MASTER X)のプレイをもっと見せたいとか。

いとうせいこう

言われてみれば、今の DUBFORCE もそうだね。「こいつ、すごいんだぜ」っていう想いが強くて、自分自身はそんなに目立ちたくないという思いがある。しょうがないからフロントに立っているけれど、人に振るのが好きなの

「かせきは日本人ならではの『ブラック・アイド・ソウル』をやってみろよ」

――せいこうさんの無茶振りなしには、今のかせきさいだぁ&ハグトーンズはないわけですね。まだまだ道しるべぶり、いってみましょう。

かせきさいだぁ

かせきさいだぁ&ハグトーンズとして2枚目のアルバムを作っているとき、フィリーソウル好きのせいこうさんに、メイヤー・ホーソーンのアルバムを聴かせたことがあるんです。彼は、元々ヒップホップのDJ/トラックメイカーを経て、70年代的ソウルを歌い始めた白人アーティストなんですね。

すると、せいこうさんは、「黒人のソウルは当然良いけど、白人の『ブルー・アイド・ソウル」もおもしろい。だから、かせきは日本人ならではの『ブラック・アイド・ソウル』をやってみろよ」とズバッとおっしゃいました。

いとうせいこう

そうそう。ティン・パン・アレーとか南佳孝さんとかがやってきたのは、そういうソウルでしょ?アメリカのロックと、ブラックミュージックのファンクとかを咀嚼して。

かせきさいだぁ

せいこうさんの言葉で僕もハッと気付いたんです。いわゆる「シティポップ」というのは、日本人の癖の強すぎるソウル・ミュージックなんだと。逆に、つのだ☆ひろさんみたいに黒人っぽい歌い方が上手な人は、本物のソウルに近づいていっちゃうからシティポップとは違うわけです。

「『ブラック・アイド・ソウル』をやれば、シティポップになる」という発見は大きかったです。アルバムのタイトルも『ブラック・アイド・ソウル』にしようと思ったくらいでしたから。でも、世の中にない言葉だから、最終的に『ミスターシティポップ』になったんですけど。

いとうせいこう

ほんとだ、見事に方向性の助言になっていたんだね(笑)。思いつきで無責任に言っているように見えて、確信をもって言っていると思う、たしかに!

今回の『ONIGIRI UNIVERSITY』聴いて、すばらしいなって思うと同時に、やりたいことやりきっていてすごいなって思えたし。

何より、めちゃくちゃ歌がうまくなったよね。もうこれはメジャーな人たちと肩を並べて歌うようなことになるんじゃないの?

かせきさいだぁ

ありがとうございます。そうなったらうれしいですよね。

いとうせいこう

もともとかせきも編集者的なところというか、「こういうことを、こういうビジュアルでやろう」みたいなことをコンセプチャルに考えているじゃん?それをそのまま保ちつつ、ものすごく歌を追求していく、そんな歌の人になると面白いと思うんだよね。

「魂を揺らすには、母音なんだよね」

――さっそく新しい方向性、示していただきましたね!せっかくですから、その「歌」の話題について掘り下げてみましょうか。

かせきさいだぁ

僕は洋楽が好きだから、「洋楽の日本版を作りたい」って想いは一貫しているわけですが、それをやっていくと「日本語の壁」にぶち当たるわけです。かんたんに言うと、音符の数が減ってしまう問題が大きいんです。

それをどうするかって試行錯誤は、先人たちがすでに何十年やってきて、それでオリジナルのJ-POPにつながっていきているわけですね。

わかりやすいところで言えば、高橋幸宏さんが歌う『君に胸キュン』。カラオケとかで歌ってみればすぐわかると思いますが、あの独特の歌真似しないと、ダメなんです。

幸宏節は、ニューウェーブぽい歌い方を意識しているのかと思いきや、洋楽っぽく音符を増やすために、イチイチああしているんですね。そこから、坂本九さんの『上を向いて歩こう』の「♪歩こうぉうぉうぉう」も、音符を増やす歌い方なんだって気付きました。

いとうせいこう

歌詞の作り方も変わってくるよね。

かせきさいだぁ

歌詞は一見シンプルでも、歌い方で音符を増やすってことを理解していただかないと。

いとうせいこう

わかるわ。のっぺりしちゃうんだよね。

かせきさいだぁ

僕が自分で楽譜書ければ細かく表現できるかもしれないけど、西洋の楽譜を日本語に当てはめて書くのがそもそも違うというか。

いとうせいこう

そうだね。音楽の楽譜っていうと、西洋の楽譜を思い浮かべるけど、違うものもあるんだよ。俺はずっと能の謡の稽古とかしているんだけどさ、たとえば「おぅおぅおぅ」って「揺らす」印があるんだよね。尺八にもただの文章みたいな楽譜があるし。

かせきさいだぁ

あれ、すごいですよね。西洋の楽譜で表現できないものがあるんですね。

いとうせいこう

だから俺も楽譜書けないけど記号書いてさ。「びろーんびろーん」「ぐらぐらぐら」とか(笑)。中でも、一番すごいのは日本古来の「ユリ(別名: ヒビキガナ)」。「う~う~」って、声を揺らすことによって霊を鎮めるというのがルーツで、魂を揺らすときに使う。で、揺らすには、母音なんだよね

これは、西洋の楽譜には書けないんだけど、それが合体した楽譜の書き方を誰か発明して欲しいよなあ。歌唱符っていうのかね。それがあれば、「君に胸キュン」をべたーって歌っちゃうことはなくなって、幸広節の「ユリ」が表現できる。

かせきさいだぁ

我々、そういうところ似ていて思い付きでいろいろ試行錯誤しますが、学者みたいにまとめることはできないんですよね。

いとうせいこう

めんどうくさいし、研究しはじめても自分で完結しちゃう。だから、自分でやって示すこと以外にできないことを自分たちでやっているわけ。

俺さ、Salyuに「心」って曲を書いたことがあるんだけど、1コーラス目は歌詞をゆったり乗せているんだけど、2コーラス目はそこからいくつかの単語が消えて、3コーラス目はもっと子音が減って祈りみたいになっていく構成にしたのね。母音がいかに日本語にとって大事かを Salyu に長く話したうえで。母音が日本語では重要だし、耳に、そして、感情に訴える。そういうことがあるんだと思う。日本語は、子音では判断しないんだよ。

かせきさいだぁ

たしかに歌うときも母音を意識していますね。倍音は子音からは出ませんから。倍音出すために、頭の子音は意味が伝われば良い程度に添える感じです。

いとうせいこう

「弁別する」って言語学では言うけど、たとえば「胃」と「詩」をわけるのは、頭の「s」の音、つまり子音。よく言うんだけど、近頃のある種のラッパーとかアナウンサーは、「s」の音が強いんだよ。

歌手もそうなんだけど、「母音はもたる」と思うのか、子音を強く歌いたがるんだよね。そして、リズムを複雑にしがち。その気持ちもわかるけど、子音過多だと聞き取れないのが問題なのね。「s」の音を強くすると、「i」の音が減っちゃって、意味より音になっちゃうから。

そこはとても重要なところで、自分のラップの技術は、自然になんだかよくわからないけれども聞き取れるって言われる。かせきもそうでしょ?母音を言う技術を持っているんだよ。

かせきさいだぁ

若い頃に考えて実践していたのは、熟語みたいなのはなるべく使わないようにしていました。熟語は頭に入ってこないんですよね、喋り言葉には、熟語は少ないから。

あと、当時のラップの現場はワイワイしていて、音響も決して良いわけじゃないから、何より伝わりやすいほうがいいなと考えていたんです。

いとうせいこう

そうそう、母音の問題と熟語の問題としては、たとえば「一騎当千」って熟語があるじゃん。試してみたらわかると思うけど、ちょっとでもアクセントが変わると、何を言っているのかわからなくなる。それよりは「めちゃくちゃ強い」っていったほう伝わるわけ。でも、ラップだと熟語のほうが韻を踏みやすいから、つい言いたくなる。

かせきさいだぁ

だけどわかりづらくなるというジレンマ。

いとうせいこう

使ったら使ったでトラックとの兼ね合いで、「一騎当千」のアクセントが訛ったりしたらもう伝わらない。一方、「めちゃくちゃ強い」はたとえアクセントが狂ったとしても意味は伝わるでしょ。

かせきさいだぁ

そうそう、熟語は書き言葉的な要素が強いんですよね。

いとうせいこう

もともと方言によるアクセントが受け入れられる話し言葉はどんな風にいじっても伝わる。

かせきさいだぁ

書き言葉と喋り言葉は違う。CM とかのナレーションのお仕事もいただくんですけど、コピー読んで、書き言葉としてはかっこいいけれども、会議でも誰も口に出してないコピーだろうなっていうのに当たることもあります。

いとうせいこう

喋って人に伝える感覚がないだろうね。

かせきさいだぁ

字のほうが目に見えるかたちになる分、喋りよりもそっちを信じちゃうんでしょうか。

「やっと俺の後継者が現れた」

――せいこうさん、かせきさんともにラッパー同士ということで、歌の技術からラップの技術まで広がってきましたね。かせきさんがラッパー目指すうえでも、せいこうさんの存在は大きかったんですよね。

かせきさいだぁ

僕がラップ始めた時は、日本中誰しも右も左もわからない状況。せいこうさんとタイニーパンクス共著の「ULTIMATE DJ HANDBOOK(1988年12月刊行)」がバイブルでしたからね。

そこには、ラップというのは「韻を踏むもの」だと書いてあって。語尾の言葉を合わせるとリズムがついて、ビートに乗せやすくなるって話なんですが、「とはいえ、英語と日本語は違うもんなあ」とも思ったんです。

ボーちゃん(Bose: スチャダラパー)は、「なるほど」ってすぐかたちにできたみたいだけど、僕は全然自分のスタイル確立が進まなかったことを覚えています。

そもそも日本語って、熟語とかを体言止めしない限り、語尾が「~した」とか「~だ」とかになっちゃう文法じゃないですか。でも、さっき言ったように熟語にしたら意味がわかりづらい。すると、「ですます」しかない。おっ、これは「はっぴいえんど」じゃないかと。これは松本隆さんの世界観でラップしたらおもしろいんじゃないかと、たどり着いたんですね。

それでデビューしたんですけど、そこで早速せいこうさんからコメントをいただいて。「やっと俺の後継者が現れた」って!

いとうせいこう

俺もいいこと言うな(笑)。

かせきさいだぁ

コメントいただいて、すごいびっくりしたんです。僕はせいこうさんの後継者は「韻を踏むのがラップ」っていうのを忠実にやっていた、スチャダラパーだと思っていましたから。「なんで俺なんだ」って当時思いましたよ。

いとうせいこう

叙情」だろうね。

かせきさいだぁ

そういえば、せいこうさんも「噂だけの世紀末」をはじめとして、叙情的なこと歌っていましたもんね。言葉は強いけれども、実はものがなしいってことを。

いとうせいこう

今の言葉で言うと、「エモさ」だよ。当時のNYヒップホップにも、「俺は弱い」って歌っていた連中はいないでしょう。

俺たち健康も弱いけどさ、そもそも弱い人こそ、人の心掴むじゃん。たとえば、俳句とかも弱さの美学。かよわい命とか季節の変わり目とか、「もののあわれ」ってそうでしょう。ちょっとだけ注意しないと、つけこんで強い人にいいようにされちゃうけど、「もののあわれ」は気にしてないとおもしろくない。叙情って、そこに目を向ける姿勢だよね

かせきさいだぁ

落語の登場人物もダメ人間ですもんね。

いとうせいこう

能も、闘いに破れちゃった人とか、すごい美しいって評判なのに年老いちゃった人が怨みを言いにやってくるとか、敗者の、負け組の主張を聞いて、みんなで「あわれ」だなあって、そして、成仏するといいなっていう文化的な土台。「強いものが絶対」というアメリカ的なものじゃないんだよな。

「『ミスターシティポップ』から『ミスター倍音』になります」

――叙情派ラップからシティポップを経て、あんまりラップをしなくなったかせきさんですが、『ONIGIRI UNIVERSITY』では、冒頭の「Yes」や、「カンフーダンス」で、タイトなラップを披露していますね。

いとうせいこう

歌のうまさのおかげで、「かせきさんってラップもできるんだ」ってなるレベルだよね、逆に。

かせきさいだぁ

みんなから「もっとラップしてくれ」って言われるんですが(笑)。とはいえ、今の音楽シーンでラップの鍛錬しても、皆さんには伝わらないだろうと思っていて。その分、言葉の載せ方とか、声の響かせ方といった、歌い方を研究するうち、ある種の声質が人を気持ちよくさせるって気付いたんですね。

具体的な例を挙げれば、ユーミン、細野さん、佳孝さんといった先輩たちの声には、みんな同じく倍音が含まれていると!

いとうせいこう

ある種の声を出したいから、というモチベーションは、普通歌手としてはなかなか至らないよ。逆の発想かも。

子音よりも母音が大事な日本語においては、「母音をどれだけ長くするか」によって響かせてきて、古典芸能もみんなこれをやってきたわけだけど、ある時、ポピュラー音楽においては、その系譜が切れちゃった

俺は歌が上手じゃないから、その断絶の修復は、俺じゃなくてかせきにやってもらわないと困る。

かせきさいだぁ

任せてください!「ミスターシティポップ」から「ミスター倍音」になりますよ(笑)。

いとうせいこう

いわゆる「歌がうまい」って、二種類あるんだよね。一つはピッチ(音程)が良いこと。みんなが通常「うまい」って言うのはこっちだと思う。だけど、もう一つ「心を伝える」っていううまさもあってさ。両方いけるのはちあきなおみさんとかがその典型。

後者のうまさになると、ピッチなんてほんとうは揺れていたほうが良いくらいでさ、裏側にある倍音の強さに、人間の脳は「エモい」って判断するんじゃないかな

そして、かせきは倍音の研究によって「心を伝える」が歌で示せるようになっているなあ、というのが俺の感想。

かせきさいだぁ

わかってくださって、ありがとうございます(笑)。

たまにダブさんに PA やってもらっているんですが、ある時、より倍音のダイナミクスを出すために、いつもより小さな声で倍音を響かせてみようと試してみたんです。

そしたら、当然ダブさんには小さい音量で送られるから、「かせき、今日は手を抜いているな!」って怒られたんです(笑)。でも、めげずにそのまま歌って「まだ聞こえないのでモニターの返し上げてください」って延々言ってたら、「まじかよ、かせき。お前どういう歌い方してんのよ」って。「倍音の響きを調整しているんです」って言ったら、ダブさんもポンと理解していただいたようで、音響の方針を変えてくれました。わざとらしく「これでどうですか?!かせきさん!」なんてさん付けで呼び出してね(笑)。

響かせる倍音の他に、小さく出す倍音もあって、そこにも人の心をつかむものがあるぞ、と仮説を立てたんです。実はこれもせいこうさんの言葉がヒントになっているんですけど。

せいこうさんが浄瑠璃の師匠さんに習ったという「サビは 100 で歌うな」っていうアレです。

いとうせいこう

そうなのよ。普通の平歌部分が一番大変なのよ。そこ を100 で歌って、サビは 70 でいいんだよ。サビはお客さんが盛り上がるのがわかっているし、足してくれるでしょ?

かせきさいだぁ

その話聞いて最初はびっくりしたけど、今は痛感しています。

いとうせいこう

これは何百年も歴史的に口伝で伝えられてきた極意ですよ!知らないと平歌は抜いて、サビでがんばるって、逆になるもんね。

かせきさいだぁ

僕もそれ教わってから、平歌を倍音100で響かせて、サビはエイビン(大山 Ervin)のコーラスも混ざるから全体で響きを作ればいいなと。

いとうせいこう

すばらしいね、そんなことに気付いている人、いないからね。そういう風に歌い続けていけばいいんじゃん、そろそろほんとうに「ヒット曲」出てもおかしくないよ。

当時のティン・パン・アレーがヒットチャートに上がっていたわけじゃないでしょ。でも、脈々ロングセラーになったわけじゃん。今回の『ONIGIRI UNIVERSITY』はそういう作品だと思うよ。

洋楽を取り入れつつ、日本語との兼ね合いを模索してきた歴史なわけけれども、かせきは、英語の中にはない叙情をやっているんだと思うよ。

かせきさいだぁ

叙情のうち、言葉のほうはともかく、音楽的な知識がなくて、細野さんたちの細かいところがわからない、それが悔しいですよね。教えて欲しい。

いとうせいこう

良い先生がいない。意外とできちゃってるけど。

かせきさいだぁ

みんなが気づいていないことをやってるんだけど、気づいてもらえない。

いとうせいこう

いやいや、この『ONIGIRI UNIVERSITY』でここまでやっていればわかると思うよ、さすがに。

「誰もが持ってごまかせるものじゃないよ、あの棒は」

――ひとしきり『ONIGIRI UNIVERSITY』も褒めていただきましたが、かせきさんがせいこうさんから学んだことはまだまだあるんですよね?

かせきさいだぁ

はい。せいこうさんから学んだのは、言葉もそうだけど、ステージングもなんです。ほら、せいこうさん、何も歌っていないときに、こう「見栄をきる」じゃないですか。

いとうせいこう

そうそう。型を作って、横の人を指さしていると、お客さんはその指さされた人を見るようになって、俺を見なくなるんだ。その隙に俺は休んでいるんだよね(笑)。

「人の視線をどう動かすか」。それは、コントやってたからわかる。DUBFORCE でも、「COME DOWN!」とか言うだけで、一曲何もやらないときもあるからね。それでも、椅子に座って人を指さしてると、あの人もがんばってると思われるわけ。

かせきさいだぁ

やっているふりどころか、「いとうせいこうがやってるバンド」って思ってくれるんですよね。

いとうせいこう

□□□もさ、俺が入る曲、10曲中2曲だったりするので、あとの8曲であいつら、弾けないキーボード与えてきたりしたんだけど、俺は上手にできないわけで、次第にほっとかれるようになったのね。

それで、フリスクふったり、小さな声で邪魔しないようにコーラスしたりしていたんだけど、次第、何もしないで音楽にノっているだけでいいんだって気づき始めた。お客さんは、その俺を見て、ノってる気持ちになって楽しむわけ。

その時、横で踊りながら「ああ、□□□の音楽いいな」と想いながら見てるんだけど(笑)。

かせきさいだぁ

僕もカジくんのライブにゲストで呼ばれて、歌ってる以外の時は嬉しそうにニコニコして踊ってるだけだったんですけど、そのライブでベース弾いてたシゲ(□□□)が後日ツイートで「俺はかせきさんの動きが大好き」っていうのがあって。

いとうせいこう

ほら、見てくれる。褒めてくれる。バイブスなんだよ。いとうせいこうフェス(~デビューアルバム『建設的』30周年祝賀会~)でかせきに指揮棒持たせたじゃん。

かせきさいだぁ

最初、「またひどい無茶ぶり!」って思いましたよ。僕、指揮とは関係ない世界で生きてきたので。蓋を開けてみたら、「せいこうフェス、出ずっぱりじゃん。いとうくんの次にずっと出てたよね」って、色んな先輩方から言われたんです。

いとうせいこう

なんかかせきが振ってるとかたちになると思ったんだよね。かせきが指揮棒持てばステージングできるなって確信あってのもの。かせきが指揮棒振っている姿って、なんかイメージに合うじゃん。誰もが持ってごまかせるものじゃないよ、あの棒は。俺も DUBFORCE もなんかの時、俺の楽器として使いたいなって思ったくらい。

かせきさいだぁ

あと、倉持(陽一: 真心ブラザーズ)くんが「せっかく歌っても、曲締めるところでかせき君が全部持っていくんだもん」ってしきりに言ってました。

いとうせいこう

ほら、あの棒一本でね。魔法の棒だよ。そもそも人って棒に弱いんだよ。学校の先生、警視総監の偉い奴、持ってるじゃん。人間はね、棒を持っている人に従うという動物的な本能があると思うんだよ。

江戸時代の歌舞伎役者と人気を二分していた深井志道軒っていうのがいるんだけど、彼は腐れ坊主で、毎日、浅草寺の境内でラップ的なメッセージ投げかけててさ。小屋掛けして、ちんちんのかたちした棒を持って、立川談志的にやってたらしいんだけど、これもまた棒の力だよ。

「俺はもうラッパーとしてまさに化石になってしまった」

――ここまでに林家三平さん、立川談志さんと落語家の方の名前を挙がっていますが、かせきさんは落語の世界は研究されているんですか?

かせきさいだぁ

ええと、若い頃に落語家を好きになって、そして、目指さなくてよかったと思っています(笑)。というのも、落語はすでに上の人たちがいっぱいいらっしゃるので、大変な世界ですよ。その点、日本のラッパーはせいこうさんが始祖だから(笑)。上はせいこうさんだけ。

いとうせいこう

そうそう、俺さえ籠絡すればよかった。でも、今の人は大変だと思うよ。俺だってこの状況じゃラッパー目指せないもん。実は、たまに頭の中でフリースタイルの練習しているんだけど、考えているうちに他のこと考えちゃって全然できないね。

そもそも、日常生活でも「あれ、あの人の名前なんだっけ?!」ってなるくらいだし(笑)。

かせきさいだぁ

年取るとフリースタイルできないでしょうね。たしかに「あれなんだっけ、誰か教えて~」多くなりますもん。

いとうせいこう

だから俺たちはどれだけ説得力を持って、おもしろいリズムと音を出すかに特化して研究していかなくちゃならないわけよ。あらゆる古典芸能と同じレベルでさ。

もちろん、今のラッパーたちには、若いうちはシャカリキに芸を磨いてもらって

かせきさいだぁ

僕、数年前に若いイベンターさんに招かれて渋谷 clubasia でライヴやったことあるんですけど、ステージでラップバトルが開催されているだけじゃなくて、楽屋でも出演者が聞こえてくるビートに合わせてフリースタイルしていたり、挙げ句の果てにはフロアでお客さん同士がサイファーしていたり。

ラップ業界がここまできているなんて、「俺はもうラッパーとしてまさに化石になってしまった」って思いましたよ(笑)。

いとうせいこう

ヤバいね、ラッパーとしてすさまじくやりづらい時代になったね(笑)。

「MC=マスター・オブ・セレモニーに欠かせないもの」

――せいこうさんは、「フリースタイルダンジョン(テレビ朝日)」に出演されているじゃないですか。いつかフリースタイルさせられちゃうんじゃないですか?

いとうせいこう

いやいや、「審査員」ということになっておいてよかったよ。誰かになんか言われても「まず、お前からやってみろ、審査してやる」ってできるから(笑)。

で、審査員としては、韻踏めているか、フローはどうか、リズムアプローチとかはもちろん、意外と声の通りを重視しているんだよね。

かせきさいだぁ

声の通りが良いラッパーっていますもんね。

いとうせいこう

そう。マイクの使い方だったり、それこそ倍音の含ませ方だったりなんだけど、そこは技術的なところだよね。いくらラップ自体がうまくてもその技術は必要。

ただでかい声出せばいいって話じゃないんだよ。俺たちの時代はそれしかなかったけど(笑)。だって、俺なんて、去年、あるエンジニアに「せいこうさん、マイクは離さないでもらえますか?そのほうが楽だと思いますよ」って。俺、声がけっこう大きいから何十年も離してラップしていたわけ。これは悪い例(笑)。

でも、この歌い方だと年々喉がダメになっていくんだよね。

かせきさいだぁ

そうそう、僕わかったんです。それは年齢とともに涎が出なくなるからだって。喉って寝ているときに修復されると思うんですけど、涎がどれだけ出るかがポイントんじゃないかって。だから、涎を誘発させる、のど飴は欠かせませんよね。

いとうせいこう

そう、龍角散のど飴は、俺たちにとってマイクと並ぶ「機材」だから。


龍角散のど飴は、俺たちにとってマイクと並ぶ「機材」
2014年06月21日 やついフェスにて

かせきさいだぁ

それにしても、いとうせいこうフェスよく持ちましたね。リハの時点で声枯れてましたもんね。

いとうせいこう

本番の日の朝もガサガサで、みんなやさしくしてくれた。でも、本番になったら出た。しかも、2日目のほうが出たくらい。神様っているんだな(笑)。

かせきさいだぁ

きっと、せいこうさんが主役のふりして、実は編集者として見せたい連中をフックアップしているからでしょうね。「人を立てたい」という気持ちでリハから全力でやっていたわけじゃないですか。

いとうせいこう

そうだよ。しょうがないから前に出てるけど(笑)。でもさ、これまではテレビのバラエティの現場とかで、「おまえらうるさい~」って大きな声で周りを抑えてきたけど、今後、俺が勉強していかなくてはならないのは、声を使わないで抑えることなんだよな。

かせきさいだぁ

そこで、棒じゃないですか。いかりや長介さんはメガホンでしたけど。

いとうせいこう

そうだ、棒だわ。さんまさんも、宮迫(博之: 雨上がり決死隊)も棒持ってるでしょ。彼らも無意気に気付いているのかもしれない。MC=マスター・オブ・セレモニーに欠かせないものを。

「この対談、無料コンテンツでいいんでしょうか(笑)」

――かせきさんが「せいこうさん~、また道を示してくださいよ~(涙)」と、泣きついて始まったこの対談でしたが、だんだん芸事の核心に迫っている気がします。

かせきさいだぁ

この対談、無料コンテンツでいいんでしょうか(笑)。棒のくだりは有料コンテンツでいいんじゃない?!

いとうせいこう

棒じゃないにしても、喉を使わずにいかにやるかってことは、古典芸能の人たちも年齢を重ねるうちに通った道なので、絶対考えてきたはずで、ヒントがあるはずなんだよ。

かせきさいだぁ

尺八の呼吸法の「密息」もそうかもしれませんね。僕もよく考えたら、歌う時この「密息」の姿勢なんですよね。

いとうせいこう

あ、そうだね。密息だ。上向いて、声を響かせているんだね。

かせきさいだぁ

こうすると倍音が出るから。そして、逆に高い声を出す時は、倍音減るけれども、下向くと出しやすくなるんです。

いとうせいこう

顔の上げ下げ、すごい技術だ。

かせきさいだぁ

小学二年生の時に、扁桃腺取ったついでに、のどちんこも取られて、うまく歌えなくなってから、身体を使って音程をとるっていうのをやってきたんですよ。

いとうせいこう

文楽の義太夫節もさ、おじいちゃんたちが正座なんだけど、ケツに椅子入れて、下っ腹を帯で押さえて、前のめりでしゃくっているんだよね。どうやってエモくするか、その秘密がいっぱい隠れているからかせきも見たほうがいい。

こうやって俺たちは一足飛びで、倍音を極めていこう。

かせきさいだぁ

逆に、倍音が確立していないのは、我々にとってチャンスですね(笑)。

「シリアスな顔していればかっこいいってものじゃないからな、この道は」

――というわけで、充実した対談となりました。そろそろ、まとめに入りましょう。

いとうせいこう

あとは、どうヒット曲をだすか、それだけですよ、かせきさん?

かせきさいだぁ

ヒット曲のひみつは、誰にもわからないと思うんですけど、自分なりにいくつかわかってきたことがあるとすれば、それはフックを増やすこと。みんなも歌えるようにわかりやすくね。

目指すところは、『孫』『マツケンサンバⅡ』『スシ食いねェ!』『俺ら東京さ行ぐだ』ですね。

特筆すべきは、『マツケンサンバ』なんです。これ、「Ⅱ」ですからね。「Ⅰ」がないと作れないわけです。あんな狂った曲に「Ⅰ」があるという事実。こういう一見狂ったことを続けないとダメなんでしょうね

いとうせいこう

だけどさ、今回の『ONIGIRI UNIVERSITY』聴くとさ、ずっとやり続けてきた、鍛錬し続けてきたハグトーンズというバンドのノリが伝わってくるよ。ちゃんとアルバムに現れている。ぶっつづけで人を踊らせられるバンドなんだって、これをきちんとツアーで見せていけば、俺はヒットにつながっていくと思うんだよね。

かせきさいだぁ

一方でフック増やした分、ライヴで歌う箇所が多くなって、疲れるんですよ。棒の時間を取り入れるしかないでしょうね。そこの研究がまだまだです。

いとうせいこう

俺は DUBFORCE ではスツールに座っていて、歌うときには前に出て、その後はスツールに戻って指さすんだよ。座るとだいぶ楽よ?そういう時間に見栄を切る。緩急が大事なのよ。全部シリアスな顔していればかっこいいってものじゃないからな、この道は。その点、シリアスが似合わないかせきは、ニコニコで行けるのも強み。

かせきさいだぁ

せいこうさんと話しているとこういう、ほんとうに音楽の秘密に近づいていける気がします。だから、もっともっと会いたいですね。

いとうせいこう

そうだね。俺からしてみると、言ったことをちゃんとかせきが現実にしてくれているから嬉しいんだよ。

――いとうせいこうさん、ありがとうございました!

編集後記

勝又啓太による編集後記

「詩」は読むための言葉、「詞」は歌うための言葉だと言われています。言い換えれば、目で見る言葉と耳で聞く言葉の違いですよね。文学っていうとどうしても一般的には前者が思い浮かんでしまいますが、日本語ラップ確立前から試行錯誤を繰り返してきた先駆者・いとうせいこうさん、そしてその後継者かせきさいだぁさんならではの後者のアプローチに、お二人のそれぞれ日本語ラップの歴史に刻まれるレジェンドぶりを改めて感じたひとときでした。

文学部 日本語学科 いとうせいこう先生

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